Z1/Z2,Z750FX/Z1000Mk2,Z1R ~スタータークラッチの交換

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Z1/Z2、Z系のスタータークラッチの交換を解説
Z1/Z2,Z750F,Z900/Z1000,Z750FX/Z1000Mk2,Z1R ~Z系スタータークラッチ

セルボタンを押すと「カラカラ」と空回りする音が出る様になったら要注意

スターターが空転し始めたら「スタータークラッチ」交換時期のサインです。
ワンウェイでクランクシャフトと共廻りする構造ですが、3つのローラーの摩耗やスターターギアの消耗が大きくなってくると空回りが始まります。


作業は車体を真っすぐに立てた状態で行います


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純正部品は現在も入手可能

スターターはギアもクラッチも販売中です

 

パーツリスト番号、17・18・19・20・21が今回必要とする部品です。

ギアー、スターティングクラッチ: 21167-003(税別 22900円)×1
クラッチ、スターティング   : 13194-003(税別  7810円)×1


ローラー           : 92122-001(税別   410円)×3
プラグ            : 92043-087(税別   450円)×3
スプリング          : 92081-110(税別   180円)×3

パーツリスト番号22番の「プレート、クラッチスターティング」は販売終了です

18番の「クラッチ、スターティング」を新品に交換の場合は、19・20・21のローラーとプラグ、そしてスプリングはセットになっていますので単品での購入は必要ありません。

スタータークラッチの交換

分解時はエンジンオイルを抜いてから行います

スタータークラッチの交換は左側カバーを分解しないとなりませんのでエンジンオイルが抜けてしまいます。ですので作業はエンジンオイル交換時期に行うのが丁度良いタイミングとなるでしょう。

フロントスプロケットカバーを外してジェネレターの配線をフリーにし、取り外したカバーごと台の上に置いておくと作業がし易くなります。ここでは買い物カゴを逆さまにして使用していますが、この高さが丁度良い塩梅です。

ローターの取り外しはロータープーラー、若しくはインパクトレンチを使ったボルト(専用工具)での押し出しにて行うと容易に外す事が出来ます。

スターティングクラッチとローターの組み換え

 

クラッチとローターはM8ボルト3本での固定となっています。
薄いプレートは販売終了品ですので綺麗に洗浄して再使用します。


 

 

 

古い方には位置決めにピンが使われていますが、新しい物にはありません。


 

 

クラッチアッシーの場合、ローラー・プラグ・スプリングの3種が組み込まれた状態です。


 

 

ギアはひと頃よりも1万円程値上がりしています。カワサキ純正部品は販売終了間際に定価がグンと上がる事が多いので近いうちに無くなってしまうかもしれません。ここは早めのストックを検討した方が良いでしょう。

 

ローラーが噛む部分を古い物と新品の双方で測定してみても数値は変わりません。
滑ってしまう原因の殆どは3個のローラーが偏摩耗している事とスプリングの張力不足で起きるもので、ギアにローラーとスプリングを合わせて交換するだけでもクラッチの空転は直ります。今回は部品が販売されている事もありギアとクラッチASSYを交換しますが、ギアとローラーとスプリングの3点のみの交換でも問題なく直ります

スタータークラッチの組付け方

   【ローターの組み付け】

ローターにプレートを取り付けます(表裏ありますので注意)。


 

 

M8ボルトにネジロック剤(中強度程度)を薄く塗り締め付けます。
新品ですとローラーが飛び出ない様に白いリングで押さえられていますが、これはギアに取り付けるまで外さない様にしておきます。


 

 

ギアへの取り付け前にはこの銅製のスラストワッシャーを忘れずに取り付けます。
脱落しない様に硬めのグリスで貼り付けると作業性が良くなります。


   【ギヤ側の組付け方】

この様にギアにはベアリングが入り、エンジン側にスラストワッシャーとダンパーラバーが入ります(黒いダンパーラバーの表裏に注意)。


 

 

エンジン側にダンパーラバーを組付ける際にずれたまま取付ボルトを締め込んでしまうと、右回りに空転するはずのギアが回らなくなります。こうなるとエンジンが動いている時にもセルモーターが回されてしまう事になりますので要注意。


正しく組み付けが完了した時ギアは単体で時計回り方向にのみ回転可能で、反時計回りにはクランクシャフトと共に回転するのが正常作動です。


 

   【ギア組付けのポイント】

ダンパーラバーとギアの接触面に硬めのグリスを塗って固定して組み付けるとずれないで組付けやすくなります。


   【クランクシャフトへの組み付け】

ローターとギアの組付けはローターにギアを組付けた状態で行う方法と、先にギアをクランクシャフトに取り付けてからローターを嵌め込む方法の2通りがあります。
一般的な組み付け方法は後者で、先にギアを組付けその後にローターをクランクシャフトに組付けます。

クランクシャフトにキーを取り付け、ワッシャー→ベアリング→ダンパーを貼り付けたギアの順に組み込んでいきます。クランクシャフトはローターを組み込み易くする為に、キーが上面を向く位置に回転させておきます。


 

 

ローターをキー溝に合わせて押し込みますが、ギアを右回転させながら挿入しないとローラーが引っかかってしまい押し込む事は出来ません。ここは十分に注意して組付けましょう。

 

 

先の動画を参考にスターターギアが右回転のみフリーで回転するかを要確認します

 

これで完成です(実際にはカバーガスケットを新しい物にして左エンジンカバーを取り付けて作業完了となります)。

 

 

「キー」表面が荒れている時はクランクシャフトにスムーズに嵌る様に、平らな台に耐水ペーパーを敷いて研磨・修正しておきます。


ジェネレター配線部分のオイル漏れについて

Z1/Z2の泣き所・ジェネレター配線からのオイル漏れ

Z750FX/Z1000Mk2以降漏れる事は稀になりましたが、Z1/Z2ではその殆どの車体でここからのオイル漏れが確認されています。

この部分についてのオイル漏れ対策はコチラの記事をご覧になって参考にして下さい