何気なく使用している「グリス」。
事の始まりは整備中にグリスを切らしてしまった時の事です。
過酷な働きを強いられているステムベアリング
フロントフォークと共に常に作動している部分としてステムベアリングが挙げられます。
この部分はグリス性能でベアリングの性能以上に作動性が大きく変わる所でもあります。
はてどうしようかと手持ちにある「モリブデングリス」を手に取った瞬間、ふと「スレッドコンパウンド」と混ぜて・混合するイメージがわきそれを検証してみました。
耐水性能が高い「MAXIMA/マキシマ」がお薦めの万能グリスです
三種のグリスを混合
少し残っていたウレア系グリスとモリブデングリス。
この混合は聞いた誰もが適正と思う事でしょうが、そこへかのスレッドコンパウンド。
この三種を適度に混ぜて経験を基に「ちょう度」を調整して使ってみます。
ウレア系グリスの残りに限りがあったのでまずはモリブデングリスとスレッドコンパウンドを混合して様子を見て、その後ウレア系グリスを足していき様子を見てみました。
調理用のさじ加減で言うとウレア系大さじ1(小さじ3杯分)に対し、モリブデングリス小さじ2とスレッドコンパウンドは小さじ1と言った具合でしょうか。
Z1/Z2のステムベアリング調整についてはこちらで解説されています
650RS/W3のステムベアリング交換についてはこちらを参考に
組み込んでの実際の効果
組み込んで見るとその「作動性」の良さに驚きます。
これは長年の経験からの感覚的な物になりますが素晴らしい動きです。
例えるとまるで氷の上を滑る様な感覚です。
この作業の後に同じ車両で比べてみると毎回変わらぬ同じ組付け方ではありますが、ジャッキアップの時点で軽い動きが確認されました(試乗に於いても様々に反応が早く感じられました)。
今回使用のスレッドコンパウンドはワコーズ製品です
ステムベアリングの交換について
Z系カスタムで長年定番の「テーパーローラーベアリング」ですがセッティングが難しいのと作動性に難があり、現在では純正と似たタイプの「アンギュラベアリング」を使う事も多くなってきています。フレーム補強含め最新の足回りを装備したカスタム車両は剛性面からテーパーローラーベアリングを使用しますが、純正~一般的カスタムであれば高耐久・作動性の良い純正ボール式が推奨されます。テーパーローラーベアリングとボール式双方の良い所が集約されたのが「アンギュラベアリング」です。オートバイ用は規格品ではサイズが合いませんので純正部品を組み合わせて使います。
テーパーローラーベアリングの締め込み具合は微妙で、ブレーキ時の「カックン」を無くすと動き・作動性が悪くなり、作動性を良くすると「カックン」が発生すると言う具合です。
自社開発車両はテーパーローラーベアリングですが、僅かに「カックン」を残し作動性に重きを置いたセッティングにしています。
絶版部品の650RS/W3用のステムベアリングは当サイトでの販売がございます
この中でZ1/Z2~Z系用アンギュラベアリングもご用意しています
今回のレポートは怪我の功名と言った内容の解説でした。