フォークシール交換時のオイル漏れ対策方法
インナーチューブの交換はせずにシールのみ取り換える場合に有効な手段です。
旧車だけでなく距離を走っている現行車にも使える手法です。
オイルシールの構造
オイルシールのスプリング効果
オイルシールには「リップ」と呼ばれる部分に輪になったスプリングが固定されており、この部分でシール効果を高めているのです。
スプリングは上下にあるものと下側のみにしか使われていないものと二種類存在しますが、
Z1/Z2、W1S,W1SA,W3の純正部品は下部の片側にしかスプリングは使われていません。
オイルシール加工 ~簡単な加工だけで効果は絶大
シールスプリングの加工
簡単に取り外せるシールスプリング。
実はこのスプリングの簡単な加工だけでシール性が向上するのです。
スプリングの接合部分が分かったら真っすぐに引っ張りながら捻ります。
そうするとネジになった先端が回転し外す事が出来ます。
再度組付ける時は捻った状態から回転・挿入するようにしないと緩む原因となるので要注意!
実際に距離を乗った車両でインナーチューブの摺動部分が光ってしまっている物。
これはメッキ層が研がれて痩せて細くなっている状態ですのでオイルが漏れやすく、
新品のシールを使ってもオイルが漏れてしまう場合もあります。
そんな時はこの手法を使うとオイル漏れ対策になりますので旧車以外にも使える「裏技」です。
スプリングの加工にプラスして、高性能なケミカルを使うと更なる効果の向上が期待出来ます
ワコーズの「バイダス・ドライ」。
これは粉末タイプの潤滑剤で、一番の効果はダンパー部分のオイル漏れ止めです。
あまり知られておらず、これも云わば「裏技」と言える手法でしょう。
バイダスドライ使用後にシリコングリスを塗布。ここに再度バイダスドライをスプレーして組み込むと効果絶大です。
インナーチューブ面に傷や錆の突起が無い場合、この一連の作業でオイル漏れを止める事が可能となります
インナーチューブの面修正
摺動部分は研がれてバフ仕上げ・鏡面仕上げの様子
常に動いて擦られて、メッキ表面は研がれて光っている状態はオイルが漏れやすい状況です。
そして研がれていると言う事は痩せて細くなっていると言う事。
ここは面精度が高いと抵抗は無くなり作動性は良いのですが、オイルが流出し易い事でもあります。
適度な面粗度を保たないとならない部分です。修正は600~800番程度の耐水ペーパーで潤滑剤を使って面を荒らしていきます。
~~~螺旋状に細かい傷がつきました。これで面修正は完了です。
分かり辛いかもしれませんが画像内のパイプは、上が修正前で下が修正後です。
オイルシール加工と合わせて面修正まで行えばオイルの漏れはほぼしっかりと止まります