Z1/Z2からスクーターまで ~シート表皮張替え術・旧車も現行車も基本は同じ!

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現行車から旧車まで シート張替え方法
現行車から旧車までシート表皮の張替え方法を解説

解説に幅を持たせる為にタッカーを使う基本の現行車シートで説明していきます。

125㏄スクーターのシートをサンプルにして作業方法を紹介します。

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シート張替えは下準備が肝心

【作業手順】
  • 古い表皮を剥がします。
  • シートスポンジの水分を乾燥させます。
  • シートベースを洗浄。
  • シートスポンジの養生(二通り)。
  • シート表皮を張る。

~~~以上が作業内容のおおまかな流れです。


張替えの作業手順~樹脂ベースで解説

作業には「タッカー」と呼ばれる針打機を使います。
ハンドタッカーと呼ばれる手動式もありますので体力を使いますがお手軽です。

ここではエア(コンプレッサー)を使った「エアタッカー」を使用して作業しています。

  • 古い表皮を剥がす

 

ニッパーで掴みテコの応用を使って古い針を引き抜きます。折れて残った針は最後に抜き去りますが、どうしても抜けない場合は半田ゴテを使って針の回り半分を溶かして抜き出します。

~~~旧車の金属ベースの場合はマイナスドライバーでこじるようにして爪を開いていきます。

  • シートスポンジの水分を乾燥させる

 

水の溜まった部分を手でつまんで絞ってから天日にあてて十分に乾燥させます。晴れた日に風通しの良い所に干すのが良いでしょう。

~~~ドライヤーは禁物。スポンジ生地を溶かさなない様に自然乾燥を推奨しますが、急ぎの場合や時間の都合でと言う場合は浴室乾燥も使えます。

  • シートベースの洗浄

 

ベースが樹脂製の車種は裏表の洗浄のみでOK。
旧車はスチール製が多いのでレストアの場合洗浄後にブラスト処理をし、仕上げにペイントとなります。

  • シートスポンジの養生(二通り)

 

メーカーでも二通りの方法を使っていて、ひとつは接着剤でスポンジをベースに固定する方法と、もうひとつは防水用にビニールシートを被せてから固定する方法。

~ビニールシートは大きく被せてマスキングテープで固定しておきます。

~表皮の固定が出来たら余分なビニールシートを切り取ります(余った表皮も含めて)。

ビニールはスポンジを包むのではなく被せること。

ビニールを被せる場合は表皮を固定する際に滑るので難易度が上がります。
スポンジ用接着剤はゴム系「G17」が一般的です。

 

 

  • シート表皮を張る

まず先端部中心をベースセンターと合わせて仮留めし、前部から表皮を手繰ってシート後部を固定します。シート中央部を左右に引き寄せた後シワを伸ばす様に各方面を引っ張りながらタッカーにて固定していきます。


 

 

 

 

 

 


旧車の表皮固定は「爪」で

各メーカー、旧車はベースプレートが金属製です。
その為表皮の固定方法は内側から出ている「爪」に引っかけて行います(最後に爪を潰す)。
ですのでタッカー打ちと違い仮留めするにも表皮には大きな穴が開いてしまいます。この事からなるべく一発で位置を決めて張っていかないと穴だらけになって、仕舞いに革は切れて固定が出来なくなる事もあります。前後以上に左右の張りは慎重に行うのがポイント。サイドモールや模様を目印にして、ある程度の位置決めをしてから表皮を引っ張り固定とするのが良いでしょう。

【Z1】 ~~~650RS/W3もモールが付いているだけで基本は同じです

~~~ベースは金属・スチール製。固定方法は爪式。ベースプレートの縁にモールを貼り付けてから表皮を張るとシート生地へのダメージが少なく良い状態が長く保てます。
(表皮が直接ベースプレート端面に当たらずダメージを軽減)


【Z400FX】

 

~~~こちらも金属製、爪式。

 

ベースをリペイントする場合、爪は横から見て「V」の字に開かずラジオペンチ先端を使って「U」の字にしておくと、表皮を固定するのに爪を潰した時に塗装が剥がれ難いです。

~~~画像の物は「Uの字」にした例です。


使用工具~エアタッカー

 

コンプレッサーがあるならば揃えておきたい工具のひとつです。
針は「ステープル」と呼ばれ小さいステープルはホッチキスと共に使用され、大きなステープルは、石積み、屋根ふき、段ボール箱に使われます。