バリオス/バリオス2 ~ヘッドカバー・ガスケットの交換

【は~ほ】
バリオス/バリオス2 ~ヘッドカバーのガスケット交換
バリオス/バリオス2 ~ヘッドカバーからのオイル漏れ

旧く見えませんが既に20年以上経過の立派な「旧車」です

20年も経過すると色々な部分からオイルも水も漏れてきます。
オイル漏れ関連部品は殆どの部品がメーカーに残っていますが、冷却系統・ラジエターホースの一部は販売終了となってきています。今後無くなる一方ですので今現在お使いのオーナーはこれを機に水回りは交換整備を進めた方が良い状況です。


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シリンダーヘッドカバーの外し方

  【ヘッドカバーの取り外し ~準備編】

何点かの部品を外しますが難しいと言うレベルではありません

   【取り外し部品】

  • 燃料タンク
  • シュラウド(左右のラジエターカバー)

 

この2点のみ外して他はボルト類を取って移動させるだけでOKです。


フューエルタンクを外したらプラグキャップを抜いてフレーム上部・イグニッションコイル脇へと移動させます。

 

クーラント注入口を固定するボルトを外してフリーの状態にします(1点留め)。


 

 

ラジエターを留めているボルトを外します(4点留め)。


 

 

左側のラジエターパイプ(金属のパイプ)を固定するボルトを外します(2点留め)。

ヘッドカバーを外す際にこのパイプが干渉しますのでボルトを外してパイプを前方に移動させます。

~~~以上でヘッドカバーを外す準備が整いました。

  【ヘッドカバーの取り外し ~作業編】

ヘッドカバーを固定するボルトは「4本」です

 

M6ボルトの4本を抜くとヘッドカバーが外せます。

ボルトを抜いてヘッドカバーを浮かせ、カムチェーン側・車体右側に抜き出します。

サイドカムチェーン方式ですのでカバーを外すとこの様な構造になっています。
カム周辺に溜まったオイルもウエスやペーパータオルで吸い取っておきます。

ヘッドカバーのガスケット交換

新品で揃える部品

ヘッドカバーガスケット・プラグホールガスケット・ヘッドボルトガスケットの3種です。

 

 【新品部品番号】

ヘッドカバーガスケット    ×1
11060-1133 (2260円)

プラグホールガスケット    ×4
11009-1843 (230円)

ヘッドカバーボルトガスケット ×4
92055-1225 (250円)

価格は税別、2020年8月での金額で、部品はバリオスからバリオス2の全て共通です。


新品部品組み込みの準備

古い液体パッキンが残っている様であればパーツクリーナーで脱脂後に、
柔らかい真鍮ブラシで取り除きます。
少々であれば問題ありませんが、なるべくカスが内部に落ちない様に気を付けます。

真鍮ブラシを使う事で細かい部分までカスを取り除く事が出来るのと、
カムプラグ部分(半円部分)の掃除も容易に行えます。

真鍮製でも毛が硬い物がありますので必ず毛が極細で柔らかい物を使います

最後にオイルストーンで修正して完了です。
オイルストーンをエンジン内部に落とさない様に十分注意して作業しましょう。

ヘッドカバー側も同様の作業で合わせ面を丁寧に清掃します

 

LEDライトで照らすと残ったガスケットの発見がし易くなります。


 

プラグホールのOリング・ガスケットは2種類の溝が切られています。

これはヘッド側の形状に合わせた物ですので、間違えずきちんとセットしないとオイル漏れの原因となりますので要注意。

丸い溝はボルトの逃げ、四角い溝はヘッドのリブに合わせます

ヘッドカバーのガスケット交換 ~組み込み編

ラバーガスケットへは液体パッキンは決められた部分にのみ使用の事

このサンプル車両はガスケット交換の履歴がある様子で、ガスケット全体に液体パッキンが塗布されていました。紙状のガスケットと違いゴムのガスケットはしっかりと脱脂をして決められた部分にのみ液体パッキンを塗る様にします。これはラバーガスケットを使う全ての車両での注意点です。

液体パッキンを全体に塗ってしまうとヘッドカバー取り付け・締め付けの際にガスケットが逃げてしまい、本来の位置からずれてオイル漏れを起こす場合があります
ラバーガスケット全体に液体パッキンを塗ると潤滑されて押さえられる力から逃げる作用が働き、
それによって「滑り」が起こるのでラバーガスケットがずれた状態で固定されるのです。

液体パッキンを塗る場所は半円のカムプラグ部分の「角」のみです(全車共通)

 

 

プラグホール部はヘッドカバー組み込み時に落ちてしまわない様に座面にだけ塗ってOリングを固定します。

 


【ヘッドカバーの取り付け】

ヘッドカバーボルトのOリングには表裏がありますのでこれも要確認。

M6ヘッドカバーボルトの締め付けトルクは0.8~1.0kgf/㎠です

 

トルクレンチが無い場合は段付きになったボルトが底付きした所から微妙に締め込んだ加減にしておきます。取付ボルトは全ネジではなく段付きですので締め込み加減はさほど難しくはありませんし、ラバーガスケットのおかげで緩み難くもなっています。

 


ラバーガスケットの溝をヘッド側に嵌め込んでからめくれがないかを目と指で確認。
プラグホールガスケットがずれない様にヘッドカバーをゆっくりと取り付けます。
分解作業の逆手順で装備品を組み込んで交換作業は終了です。

液体パッキンを半日ほど乾かしてからエンジンを始動。
オイルと冷却水の漏れが無いかを確認して作業完了となります。