650RS/W3 キャブレターの同調~キャブ整備の解説とキャブレターの良否判断

W3 ~整備&レストア
W1S/W1SA/W3 キャブレターの同調
スポンサーリンク
650RS/W3のキャブレター
スポンサーリンク

W1S,W1SA,W3 キャブレターの同調

Wは左右のキャブレターがリンクしておらず独立していますので、良好な調子を保つには定期的に双方の連携・同調を合わせる事が重要になります。

W1S,W1SA,W3共に基本は同じです ここではW3を題材に解説していきます

実際の整備手順

マニュアルではまずアクセルホルダー側・ワイヤーの遊びを大きく取ってから、キャブレタートップスクリューを調整して左右のワイヤー遊びを「0」にすると書かれています。ピストンが2個同時に上下するのを確認したらばアイドルスクリューをいっぱいに締め込んだ状態から「4回転」戻すよう指示が出ています。

実整備に於いてマニュアル通りの「4回転戻し」では同調はとれない
マニュアル指示に従って調整する時、最後のアイドリングを合わせる説明の通りに行うと間違いなく左右ピストンは不一致となります。なぜならばスクリューを締め込んだ状態がすでに左右のピストン位置は合っていません。これは様々な要因で起こる「誤差」で左右の違いが出るのですが、アイドルスクリューのスプリング。この潰れ具合や製品厚さの違い、スクリューの先端部の潰れ具合、ピストン当たり面の消耗具合などなど複数の症状が重なり合って起こる現象です。
ワイヤー調整後アイドルスクリューがピストンに触れる位置を探りそこを「0地点」とした場合に、スクリューを最後まで締め込んだ時の左右の回転数を測るとします。そうするとサンプル車両では右側が「3-1/8」回転、左側「4-1/2」とすでに大きく異なっています。
経験上「0地点」から1回転締め込んだ付近で正常なアイドリングになる事を踏まえると、マニュアル指示からは約「7/8」回転程足りない計算になります。
同調をとる最適な方法の解説
  1. アクセルワイヤーのホルダー側で遊びを大きく作る。
  2. 左右のアイドリングスクリューを全開放する(反時計回り)。
  3. トップキャップのロックナットを緩めスクリューを回して遊びをなくす(両側)。
  4. アクセルを開閉して左右のピストンが同時に上がっているかを確認。
  5. アイドルスクリューを締め込んで(時計回りに)ピストンに触れる位置を探して停止。
  6. 1回転締め込んだ後エンジンをかけアイドリングしていればエアスクリュー調整を行い、その後にアイドリングを微調整。
  7. アクセルホルダー側、ワイヤーアジャスターで遊びを調整し完了(ハンドルを左右に回して確認)。

 

① マニュアル通りにホルダー側にてアクセルワイヤーに遊びを大きく取ります。

 

 

② 次にマニュアルには記載されていませんが、アイドリングを調整するスクリューを左右共に「反時計回り」に回転させキャブレターピストンを最下位にしておきます。

 

 

③ キャブレター・トップキャップのロックナットを緩めます。

 

 

 

ワイヤーを引っ張って確認しながら遊びを「0」に、キャブレタートップとアクセルワイヤー分岐BOXまでの範囲の遊びを無くします。この作業は左右共に行います。

 

 

左右完了したらアクセルを開け、左右のピストンが同時に上がっているのかを確認。

 

 

最後にアイドリングスクリューを時計回りに締め込んでいき、キャブレターピストンにスクリューが当たる所(ここを0地点とします)まで回転させ、ピストンが触れたところから「1回転」締め込みます。大体の車両はこの位置で丁度良いアイドリング回転数です。

アイドルスクリューがピストンに触れる「0地点」に左右合わせたら再度アクセルを開け、両方同時に動き出しているかを確認します。合っていない場合は再調整します

「0地点」調整の際クリーナー側からの目視に加えて、アクセルを開閉しながらアイドルスクリューを指で押さえます。そうするとアクセル・オフの時(ピストンが下りて来た時)スクリューにピストンが触れるとスクリューにあてた指に振動として伝わってきますので、これを目安にピストンの0地点を探し出します。

ワイヤー調整後とアイドルスクリュー調整のあとは必ずアクセルを開閉して左右が同時に開いているかを目視で確認します。これは音でも判断可能で、どちらかがずれていれば開閉音は「カチャチャン・カチャチャン」と音が微妙にずれている音がします。しっかりと同調している時の音は「タンタン・タンタン」とズレの無い硬い音がします

~~~マニュアルではアイドリングスクリューを最後まで締め込んだ所から「4回転」戻した位置を仮セッティング位置とする・・・。と記載がありましたが、実際にはエンジンが止まってしまう程の位置でした。色々と検証した結果「0地点」から「1回転」締め込んだ所が一番良かったと言う結論に達し、エアスクリューに関しましては「半回転~3/4」の範囲で合わせられればほぼキャブレターは調子の良い方向にあると思います。

エアスクリュー開度が「1-1/2」回転を超えてくるとキャブ本体の消耗が激しく、不調を訴えてくる車両が多いです。そう言った経験からキャブの善し悪しの判断はこの『エアスクリュー開度』で出来ると考えています

もっと詰めた同調をとりたいと言う場合には④のワイヤー調整後、ピストンの隙間を計測して狭い方のピストンをワイヤーにて引き上げて広い方の隙間に合わせて固定します。こうする事によってより細やかな左右バランスがとれます。

計測には大小様々な太さの針金を用意して隙間へ差し込み測定していきます。

線径は0.2mm~0.4mmの物があると丁度良いです。