W1S,W1SA,W3 ~タンクの「クラック」の簡易修理
~~~W1SA/W3によく見られるトラブルのひとつに燃料タンクの割れ・クラックがあります。このページでは溶接の類を使わず内部からの修理を行う作業方法の解説をしていきます。
W3のタンクを題材にロウ付け・溶接無しでのクラック修理
表題に「簡易」と書きましたが・・・。
【簡易】・・・手順・手続きが簡単でたやすく行える ~とGoogleでは解説されています。
溶接+ペイントよりはたやすく行える作業ですが実は内視鏡手術に似た修理方法で、その修理の為に手作りの工具など登場します。
「溶接+ペイント」ではざっと計算するとその費用は4~5万円程かかってしまいます(ベース色がキャンディーですと部分塗装が出来ないのでベース色部全てを塗る事になります)。
これから解説する手法を使うと金額が抑えられ作業日数も3~4日(殆どが乾燥にかける時間)と早いのが魅力です。
修復作業のおおまかな流れ
- タンク内の錆落とし後、専用洗剤やパーツクリーナーを用いて内部を脱脂する。
- 目の粗い紙ヤスリ(80番前後)で内側のクラック周辺を荒らして下地処理とする。
- 半月状に切ったFRPを筒部分根本(クラックのある部分)に1周貼り付ける。
- この作業を2回繰り返してFRPを2層にする。
- 完全硬化後、ワコーズ・タンクライナーを染み込ませた繊維シートを更にその上に貼り付ける(これも収まりが良い様に半月に切って)。
- 一度目のライナー硬化後に二度目のライナーを注入し内部に行き渡らせ、タンクを逆さまの状態でクラック部分を補強する様に筒形状部分に集めて硬化させる(完全硬化迄数日間要します)。
ワコーズ・タンクライナーは「5Lタンク」の容量で用意します。
作業内容の詳細を解説
- 2番:柄の長いマイナスドライバーの先端に60番の紙ヤスリを固定してフューエルコック部分より挿入しタンク内面の「足付け」を行う(クラック周辺・筒部分)。
- 3番:2種類のFRPシートを半月状に切り専用樹脂に浸し、重ねてフューエルキャップ部分より挿入し位置を合わせる。位置合わせはコック部分から前出のマイナスドライバーや適当に曲げた太めの針金を使いクラック部分へと導く。
- 5番:FRP完全硬化後、市販の繊維シートにワコーズ・タンクライナーを含ませてFRP部分に被せる様に重ねていく。このシートも作業前・準備段階で半月形状に切り抜いておく。注入はFRP同様、フューエルコック側より行う。
W1S,W1SA,W3 フューエルタンク修理まとめ
~~~W1Sに於いてはタンク整形板の肉厚がありますので、今まで見てきた数十台に及ぶ車両で割れた物に未だ出会った事はありません。
それとは反対にW1SA,W3では相当数の車両を修理をしてきました。大丈夫な物はキツく固定ボルトを締め付けても割れませんが、割れてしまう物は溶接修理しても再度その際から割れてしまいます。この原因のひとつにはタンク整形時にかかっている「ストレス」によるものと考えています。この場合は一旦筒部分とタンクを切り離し(クラックの入る上部のみ)、その状態で溶接・接合してやると割れにくいタンクに変わります。もう一つ考えられる原因としてタンクよりも筒部分が沈んでいるケース。燃料の重みでタンクが揺すられる工程でここに一番の力が作用してエンジン振動と重なって応力が集中して割れてしまう症状。
様々な要因がありますがこの2点が大きく関わっているケースが多いです。
塗装後のトラブルを避ける為にもペイント前にこの部分を剥離・点検するのは必須。ペイント前にここで紹介した処置を「補強アイテム」として施工してからペイント作業に入るなど、慎重な事の運びが重要です。
ライナーは多くの量で厚くし過ぎると5年程で剥がれる様にクラックが入ります。
時々はタンク内を空にして点検しましょう。クラックが出てしまった場合はよく脱脂して乾燥させ、再コーティングを行います。この時は残ったライナーを十分に抜き出し、加熱乾燥は避け自然乾燥とします(熱をかけると古いコーティング剤が焼けて剥がれてきます)。
タンク修理後の割れ対策とは?
修理されたタンクと、今現在割れていないタンクの双方での今後の割れ対策をご紹介致します
この一言に尽きます。
ではどのようにして対策を講じるか?
要望が多かった対策品でしたので今回作製した物を販売する事にしました。
下記お問い合わせ欄からご連絡下さい。