カーボンブラシの取り付け時に迷う部分
ブラシからは線が1本出ています。これの上下だったり取り付け金具の向き。
今回はこの金具の向きについて再考していきます。
カーボンブラシの配線と金具
ブラシの上下位置と金具の向き
新車時からの取り付け状態を見てみると・・・
これが標準の取り付け方です。
ブラシの上下は線がダイナモチェーン側に向く方向、金具も配線が画像の向きに設定されています。特に決まりがある訳ではありませんので、どの向きで取り付けしてもほぼ問題はありません。ただブラシが減ってきた時にこの「線」がブラシホルダーに引っかかってしまうと、振動の多いバイクですので摩擦によって断線があるやもしれません。ですので理想的な取り付けを検証してみました。
カーボンブラシの理想的な取り付け
金具形状を無視する
「金具形状を無視」とは、その形に捕らわれていると他の取り付け方が見えなくなってしまいますので柔軟に物を見つめる為にその形状から目を逸らして考えると言う事です。
様々な事を考えてのより良い取付けの方向とは・・・
【純正取り付け】 【新規取り付け方法】
この角度での取り付けには金具を曲げてやらないとなりませんが、これでブラシ線が干渉する事なく綺麗に収まります。ブラシが減って奥へと押し出されても線が届かなくなる事もありませんので(計測済み)これが本来の角度・位置であると考えます。
【カーボンブラシ・金具の曲げ方】
ラジオペンチやプライヤーレンチで摘まんで、後は手で押してあげると簡単に曲げる事が出来ます。
コンミテーターバンドに使われるシート
【カーボンブラシをカバーするバンド下のシートとは?】
このシート状の物の正体、実は「和紙」なのです。
紙なので湿気や汚れで腐食し、数十年もメンテナンスされていないとボロボロで一体何なのか判別がし難い物体と変貌してしまいます。
パーツリストでは「コンミテーターバンド」と案内されている部品です。
画像の物は奇跡的に回収された一品(アルファベットで「トレンド」の印字有り)。
カーボンブラシをカバーする物でもありその下に敷かれる「紙」も重要なパーツのひとつです。
この紙は部品設定が無く腐食も激しい為、その原形が留められた物を見る機会もありませんので一般的に何がどう使われているかもあまり知られていません。
【『和紙』を貼り付ける】
便利なもので、バンドが嵌る溝のサイズと一致した幅のマスキングテープが販売されています。
これを上手に貼り付けてあげるだけの簡単な作業ですので、解説を見て実践・参考にして下さい。
【実際の作業方法】
粘着力が弱くても「テープ」ですので貼り付けは容易です。
ブラシケースの支柱部分・幅の広い部分の中心を起点として貼り付けを開始します。
テープ幅は「24mm」、ケース側の溝幅は「25mm」。
テープは溝幅の狭いケース外側(画像では上部)に寄せてブラシ側に落ち込まない様に貼り付けていきます。
1周回した所で一旦カットし、テープの厚さを均等に厚みを調整します。
テープ厚は「0.08mm」、標準の和紙厚は「0.3mm」。
テープ粘着部分の厚みを考慮して3周「0.24mm」としますが、バンドを嵌めてみて緩い感じであればもう1周・計4周の「0.32mm」に調節します。
1周毎に貼り付け初めの位置を180度変えて隙間を無くします。
1周貼り付けたら縁部分~支柱部分へとしっかり押さえつけて接着させます。
貼り付けのコツは、テープを引っ張りながらダイナモを回転させて行う事です。
(ハサミの使い方と同じ要領です)
マスキングテープの表面は滑りますのでバンドも当然動きます。弱い力で回転してしまう場合は、バンド内側に薄くシリコンガスケットを塗布して乾燥後に車体へセットして下さい。
【コンミテーターバンドの向きと位置】
これも指定された位置はありませんが、ベストな位置をご案内いたします。
新車時は配線が上向きにセットされているのですが、水分の侵入を嫌って線の取り出し口を下向きに設定しています。