三種の神器
昭和~平成カスタムの象徴として車業界では、昨日・今日と(平成31年4月30日~令和5月1日)日本全国を魅了した退位・即位の儀式で露になった天皇陛下所有の『三種の神器』に倣って(ならって)「ソレ・タコ・デュアル」として改造部品を現した言葉がありました。これはキャブレターは「ソレックス」、エキゾーストは「タコ足」、マフラーは「デュアルマフラー」とされています。ハコスカ、ケンメリ、フェアレディに代表される車種に於いての定番のカスタムアイテムです。
平成~令和カスタムのマストアイテム
~~~それが前述の「FCR」・「ウオタニSP2」・「集合管」です。
エンジンが不調の車両を修理せずとも(多少具合が悪いと言った範疇でのお話ですが)、この3点を抑えればそれまで不調だった車両が見違える程調子良く走ります。その恩恵は近代キャブレター+最新電装系への換装にて実際の効果が体感出来ます。マフラーはともかくとして先のキャブと点火系は最重要項目です。マフラーは音が大きれば抜けているかと言うとそうではありません(本サイトは科学的見地の報告は極力控え誰しもが分かり易く理解出来るように努めていますので、簡潔な説明を心掛けています)。抜けは良くとも音が大きくてもエンジン性能を阻害していたりする反面、音が小さくとも排気脈動を考え適度な排圧を掛け理想的なガスの流れを作っているマフラーもあります。
令和、これからの旧車カスタムの動向
ベース車両でさえ既に高額で取引される昨今、その状況を打破するが如く、海外のフレームメーカーと提携し輸入車としてのコンプリート車両販売を開始したカスタムがいよいよ登場してきました。既に30年近く以前の話ですが、海外でのフレーム製作でなくともかの「タバックス・エンジニアリング」の田端さんはZ2用アルミフレームで公認をとられています。ひとつひとつ手作りになるので量産向けではありませんが、あくまでも「コンプリート車両」ですのでオンリーワンの理念からしますとこの手法をとる事によりこれは素晴らしいカスタムになると予想されます。
40年を経過する旧車としての推奨カスタム系
ここで推しているカスタム。それは「旧き良きを残す」カタチ。
その時代を象徴するかのような機構・装備をしっかりと残したうえでのカスタムをアドバイスさせて頂いています。例えばフロントホイールの「19インチ」であったり重くて抵抗の大きい「630チェーン」だったり。ピストンは純正サイズ品(66mm)が終了していますがノーマルボア×ストローク・66mm×66mmの『スクエア』から発するフィーリングは捨てがたい物があり、社外66mmピストンの設定がある物でエンジンを組み立てる事も本来の「Z-1」を体感するにのに大切な作業です。
ピストンはスタンダードでもキッチリと重量合わせを行ったうえで表面コーティングを施し、バルブはインナーシムのまま純正品を燃焼室と共にポリッシュ加工。ポートは若干の形状変更+インシュレーターとの段差落としをしてステージ1・ハイカムシャフトにてセットアップするとかなりパンチのある仕様となります。ステージ2カムはサーキットオンリー。街乗り~峠程度では扱いづらくなりますのでステージ1をお勧めします。ですので当然バルブもメンテナンス性の良さを持った純正・アウターシムとしています。カムもポン付けではなくメーカー指定のデータに基づいてカムスプロケットを長穴加工にしてバルブタイミングを微調整しています。ヨシムラカムであればポン付けしても殆ど合っていますが厄介なのはモリワキ。指定のバルブクリアランスでは圧縮が上がらずに相当日数を悩んだ経験があります。
サスペンション・フロントフォークにしても外観変更無く純正ボトムケース&インナーチューブをベースに内部変更を推奨しているのもそう言った「理念」に基づいています。完全ノーマル、またはノーマル風であるのに(外観が)スムーズかつ軽快に街中を・峠を駆け抜ける、そういった車両造りを理想に掲げていますので前述のフロント19インチや630チェーンなどZ-1独自の装備をそのままにカスタムを進めています。17インチコンプリート車両も実際に乗るとパワフルなエンジン以上に車体の軽快さに驚きます。現行車両に近い・・・、と言うよりもそれ以上のレベルで旧車の域を超えた次元で調律・完成された車体は、スーパースポーツと一線を画したロードスターとして衝撃を与えるオートバイとして存在しています。
「岩城滉一レプリカ」とした風貌をよそに中身はバリバリのフルチューン、アクセルオンでフロントが軽々と浮く「70年代スタイル」をベースにした+α的カスタムもあります。セパハン位置を高く取ったハンドル位置になるいわゆる「YBハンドル」でのポジションから構成され、ステップも緩いバックステップとされる優しい乗車姿勢。年齢を重ねてきた「Z1/Z2」オーナーがこれを選ぶ傾向も近年強くなってきている現象のひとつです。
いつの時代も「ボア・アップ」
~~~とかくエンジンOH(オーバーホール)と言うとまず最初に出てくるメニューがこの「ボアアップ」と言う言葉。あらゆるパターンで作業を行ってきた経験から申し上げますと、Z1/Z2ベースが一番金額が掛かると言う事。スリーブ厚さを考慮するとZ1では「70mm」ピストンが限界(熱対策を考えると不利)。1100㏄にするにはスリーブ入替(1穴約40000円で面研必須)とクランケケース側スリーブ穴拡大加工が必要になります。Z1000ベースであればボーリングのみで1100㏄まで排気量の拡大が可能ですので、予算を抑えた車体含めフルチューンをお考えの方はベース車両を「Z1000」にする事をお勧め致します。
Z1/Z2一番の特徴である『ヒュルヒュル音』
あまりに排気量を拡大しすぎるとこの「ヒュルヒュル音」がキャブ吸気・排気音と共にかき消されてしまいます。乗っている時よりも第三者が聞いている方がよく聞こえる音ですが、初期よりも後期(A4~Z750D1)、後期よりもZ750FX/Z1000Mk2の方が確認し易い音です。加速の瞬間やシフトダウンの際に聞こえるこの音こそが『Zフリーク』達を虜にしている「Z」の一番の魅力なのでしょう。
かの人気番組の『白バイ野郎ジョン&パンチ』。これを毎週楽しみにしていたカワサキファンも多い事と思いますが、番組内のパトロール中で聞こえてくるヒュルヒュル音にワクワクしたものです。
画像は後期の『Z1000』バージョン。
始まってすぐは『Z900』のタイプを使用していて、「KAWASAKI」ロゴのタンクエンブレムがサイドカバーに、タンクには「カリフォルニアCHiPs」のマークがありました。
エンジンよりも足回りを含めた車体づくりを
開発そしてテスト車両でもある自車でも確認された事ですが、フレーム補強を正しい方向で正しい作業で行った前提でも多すぎると当然バランスが崩れて一般的にアンダーステアがキツイ方向に表れます。それでも現在の技術を導入したサスペンションにてセットアップするとそれは解消され、むしろその補強が生かされる車体へと生まれ変わります。エンジンが車体を少し上回った位のオートバイが刺激が合って面白く感じますがそれは過去のお話で、全てがマッチした車両はそれを凌ぐとだけお伝えしておきます。
卵が先かニワトリが先か・・・、バイクのタイヤとサスに関してはどちらが先と言うよりはセットで考えねばなりません。オートバイはタイヤもサスペンションの一部として設計されていますのでタイヤチョイスによっても仕様が大きく変わる事はあります。ここで提唱している「19インチカスタム」で外せないもののひとつに『ラジアルタイヤ』があります。リヤ18インチ用では英国エイボン社からラジアルの設定は以前よりありましたが、フロント19インチでは『コンチネンタルタイヤ』が初の試みとして数年前より発売が開始されました。
通常ツーリングラジアルで示される丸みを帯びたプロファイルとは異なりレーシングタイヤのそれと同じ先端部に向けてなだらかに尖った形状を呈しています。これによって「パタン」とした寝かし込みの速さもさることながら車線変更時の軽くしなやかな動きは誰にでも体感出来る性能です。「点」で路面と繋がっているかの様な抵抗の無さは特筆すべきもので、タイヤ外径が小さくなることであたかも18インチに換えたかのような車体構成になる事。18インチにした時よりもネガティブな部分は少なくクイックな特性となります。フロント19インチの「クラシック・アタック」にて銘柄を揃えるとリヤは120サイズが限度ですが同じコンチ・ラジアルの別銘柄「ロードアタック2」に130サイズ以上の設定もあります。前後で銘柄違いで大丈夫なのかと思われるかもしれませんが、方向性の同じ設計思想と感じられる物同士ですのでサーキットでの感想はとれていませんが市街地からワインディングに於いての感触に良い物はあれど悪い物は感じられませんでした。
抵抗なく軽い動きが特徴的なタイヤですが、伊豆スカイラインと箱根ターンパイクでの感触としてはガッチリと路面を「面」で捉えている感触が大きく、走っている時間と共に自然とアクセルが開いていることに気付きます。
外径をしっかりと測定しませんでしたが、交換後すぐの車検ではライトの光軸で落ちる程のものでした。フロントフェンダーとの隙間も広くなり、リヤ以上にフロントは一回り以上小さくなった感触です。
これからのカスタム総論
『三種の神器』としてきたFCR・ウオタニ・マフラーですが、後半のまとめでは既にマフラーから「ラジアルタイヤ」になりつつあります。総論として「FCR・ウオタニ・ラジアルタイヤ」としてまとめますが、これといった決まりごとはありませんので個々の思い描く完成形に向けて神器を見つけて下さい。