ここでは『Z1,Z2』に代表される空冷車両の暖機方法について解説していきます。
どのサイトを見てもピンと来ない、分かりにくい、方法が見るページでまちまちな解説・・・。解説者によって様々な見解がありますのでそうなってしまうのでしょう。なるべく的を得た情報が欲しいと言う方に分かり易く噛み砕いて説明していきます。
適正な暖機の方法は~?
水冷車両、RC30(VFR750R)を例に挙げますと暖機はアイドリングの状態でオーバーヒート手前まで水温を上昇させ、その後クールダウンをして適正温度まで下げると言う手法。この方法は当時のレーサーで行われていたもので、同様に空冷車両「Z」でこれをしてしまうと停車時は当然空冷ですので風が抜けません。ですのでこれを行うと一番熱のこもるシリンダーヘッドがオーバーヒートを起こしてしまうのです。エンジンをかけたまま温まる迄一服・・・、という以前よく目にしていた光景。実はオートバイにとっては良い状態ではありません。
ではどのようにして暖機を行うのか?
- エンジンをかける(チョークはエンジンがかかったらすぐに戻す)。
- 回転が落ち着く迄アクセルを軽く煽って暖める。
- ブンブンせず2千回転付近をキープするように、約2分ほどでアイドリングは安定。
- シリンダーヘッドの吸気側が素手で触れると熱く感じる程度で停止状態での暖機終了。
- 高負荷をかけないようにし、アクセルワークも慎重に高回転を使わずゆっくりと走行開始。
走り出しは低いギヤで引っ張らず一つ上のギヤを使い急発進・急加減速を控えて暖める様にする
アイドリングはエンジンにとって苦痛~?
エンジンとは本来もっと回転が高い状態で回るものであり、アイドリングは「足かせ」されて抑えられているようなもの。エンジンオイルもしかりでアイドリング時が一番オイルにとって劣悪な環境です。例外として空冷単気筒エンジン。これはひとつのピストンが動いているもので、多気筒型と違い力が分散していません。ですのでピストンの「芯」までキッチリと暖め適正クリアランス迄もっていかないとシリンダー内壁~ピストン表面までダメージを与える事になります。この場合の暖機方法はアクセルを煽らずアイドリングの状態を保ったまま5分程暖める・・・、と言った具合が理想的です。チョークを加減しながらアイドリング回転をキープするのがコツです。
チューンド・エンジン、鍛造ピストンの場合
~~~鍛造ピストンは鋳造ピストンに比べてクリアランスが広めです。ある程度の気遣いを持って暖機してあげる事で寿命も延びますので大事に取り扱いましょう。暖機方法は先に挙げた方法で問題はありませんが、ピストンの「芯」まで適正温度になるまではおとなしく運転するのが望ましいです。クリアランスが広いのでピストンがシリンダー内壁を叩く事になりますので温度の上がりにくい冬場は特に注意が必要です。対策として油膜の切れないしっかりとしたエンジンオイルを使ってエンジン保護に努める事が大事です。