リプレイス部品・複製品では賄えない重要な部分がこの「フロートバルブ」です。既にメーカー販売中止ですが、同サイズでの「三國部品」としてのストックがまだ手元に相当数残っていますのでこれを使って整備を進めています。
なぜ純正部品にこだわるのか?
「W」用のキャブレターパーツはアフターマーケットでは2社ほど販売しています。どちらも国産と謳って売られていますが日本製品と言うだけで実際に使うと消耗している筈の純正部品よりも燃料は濃く、プラグもすぐにカブってしまう代物でした。Z1/Z2用でも代表的な2社から(1社はこのWと同じメーカー)設定がありますがこれも酷く、サイドスタンドをかけるとオーバーフローしてしまうような造りで、何度かフロートの油面調整を行いましたが解決せずに純正品を再購入したと言う話もありました。
ですので高価ではありますが、なるべく純正部品を新品で使う様にお客さんには勧めています。Wのフロートはまだメーカー純正品が残っていますが、昨年は箱に入っていたのについ先日の注文ではビニールに入っただけの状態で届きました。カワサキの場合過去の経験から申しますと、「急に定価が上昇」または今回の様に「箱入りからビニール詰めに」のどちらかになると販売中止が近いものです。フロートのリプレイス品はなかなかしっかりとした製品が売られていますのでこれは心配せずとも大丈夫です。
しかし「フロートバルブ」に関しては先の「揺れるとオーバーフロー」という事件が幾度かありましたのでここは純正部品でないとなりません。
フロートの油面調整
マニュアルではキャブを逆さまにした状態でフローバルブ先端にフロートのリップが触れた位置での規定値と測定方法が書かれています。この状態でフロート頂上からチャンバー合わせ上面までの距離を測ります。その数値は「27.5mm前後1.0mm」。
経験上フロートが新品であるならば油面は少し下げめの「29.0mm」で良いです。キャブに問題が無くてもチャンバー内のパイプや大気開放穴へと、ガソリンは上っていく習性から外部に漏れやすいのでそれを抑える処置でもあります。仮にこれ以上油面を下げてしまうとガスが薄い状態となり吹け上り不良となり調子が悪くなります。
~~~フロートとフロートバルブが新しいと燃料供給が安定しますので、これで調子が上がった車両も過去に何台か確認しています。
~~~左右での油面を見てその誤差が大き場合は水平位置の調整を行って完成です。
こちらはあらためて機会を見て解説していきます。
~~~御覧の通りビニール袋のみの包装となってしまいました。
W1S~W3 キャブレター・セッティングデータ
サービスマニュアルからの抜粋です
【W3セッティングデータ】
VM28
- ニードルジェット : 0-5
- ジェットニードル : 5L1
- パイロットジェット: #30
- スロットルバルブ : 2.0