W1S,W1SA,650RS/W3 ~シフトチェンジ・変速不良の原因

W3
W1S,W1SA,W3 ~変速不良とリターンスプリング
W1S,W1SA,W3 ~変速不良・シフトチェンジ不良の原因

シフトペダルを動かしてもギヤが変わらない

ペダルを踏んでも変わらない。かき上げても変速しない・・・。
そんな症状が発生した場合まずは「シフト調整」から始めましょう。

稀に左側リンクロッドがサイレンサーに干渉しているケースもありますのでまずは要確認


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シフト調整の方法

こちらの記事で細かく解説しています

 


シフト調整をちゃんと行っても変速不良の場合があります

その原因はクワガタ形状のシフトフォークと、それを固定しているアームとの隙間が大きくなってしまっている事です。ここのクリアランスは本来微少なものなのですが、見た目に大きく開いているのであれば変速し難くなる可能性があります。

ここの隙間が大きいとペダルを踏んだストローク量全てが確実に伝達出来ず、シフトフォークの作動量が少なくなってしまいシフトドラムが最後まで回転せずギヤが変わらない状況となるメカニズムです。
~~~この場合は状態の良い部品を探しての交換作業となり修理は不可能です。

最初に出てくる消耗したフォークを後発の良好な物と比べると動く振り幅が大きく、
フォークの四角い穴部分のクリアランスも見た目に大きく違うのが分かります。


リターンスプリングが折れた時の交換作業

リターンスプリングはリプレイス品の設定があります

シフトペダルを踏んでも変速しない・シフトアップするとペダルが下がったまま。
ペダルの戻る反力が感じられない時はこの「リターンスプリング」の折れが原因です。

 【作業手順】

  • 右側フロントステップバーを外す
  • 右側シフトリンクを外す
  • リヤブレーキワイヤーとペダルを留めているピンを抜く
  • リヤブレーキスイッチとペダルを繋ぐスプリングを外す
  • リヤブレーキペダルを下げた状態で固定する
  • ミッションカバーを外す
  • シフトフォーク・シャフトを抜く
  • シフトフォーク部分を分解、スプリングを入れ換える
  • シフト調整を行う
  • 分解の逆手順で組み立てる

~~~以上が作業概要です。

実際の作業手順を解説

【ミッションケースカバーを外す準備】

フロントステップバーを外したらシフトリンクを外す。
(→先にバーを外さないとリンクロッドが抜けない)
リヤブレーキスイッチのバネを取り、ワイヤー取り付け部分のピンを抜く。
ブレーキペダルを下げた状態で固定する(ここではメガネレンチを使用)。

~~~分解手順は前後しても問題ありません。


ミッションカバーの外し方

ガッチリと貼りついているのもそうですが、ここは工具を引っかける部分も無く叩いて取る事も難しい場所です。
ミッションカバーを外すまでの準備が出来たらカバーを固定するM6の丸ビス7本+M6ナット1個を抜き去ります(全8箇所)。
この状態でクラッチレバーを握るとカバーはいともたやすく剥がれます。
本当にガッチリとくっついている場合はクラッチレバーが固く握れない場合もあります。その時はプラスチックハンマーでカバー周辺を叩くと剥がれ易くなります。
(クラッチレリーズ部分を車体左側から長い棒を当てて叩く方法もあります~画像矢印)

カバーが剥がれた段階でクラッチワイヤーを外します(レバー側から順にレリーズ側へ)。


【シフトフォークの分解~組み付け】

~~~ミッションケースから外すとこの様になっています。

~~~リターンスプリングがストッパー部分で折れています。オフセットされていない方のバネ先端に負担がかかるのか、修理入庫の車両殆どが同じ位置で折れています。

~~~組付けはシフトフォーク・シャフトを先に取り付けておきます。

キックアームの半月型ギヤがミッション本体側のストッパーに当たらない様に、キックアームを踏み下ろす方向に回転させてカバーを取り付けます。
(回転させないと本体側に干渉してしまいカバーは収まりません)

~~~この後は分解に外した部品を元通りに組み付けます。

 

ミッションオイルを注入して作業は完了です。

 

最高のシフトタッチを得る為に

前述の様に各部の調整は不可欠。調整の次にオイルの選択があります。
Wはエンジンとクラッチ、そしてミッションが分かれていますのでそれぞれに合ったオイルの選択が可能なのはセットアップ作業に於いて強みです。

エンジンオイルはアッシュPSEの15W-50を勧めていますが、ミッションには粘度を落としたFSの「5W-30」を使っています。これによりシフトフォークやドラムの不調でギヤが落ち難い車両のミッションを補っています。PSEよりも更に高額なオイルですが試す価値は十分にあるオイルです。

FSは他に輸入トライアル車両にも断然お薦めのものです。
トライアル車は特殊な部類であり輸入車と言う性質上、殆どがレース車両にナンバーを付けているオートバイです。レース車両ですので公道走行用ではありませんし、日常のメンテナンスはレーサーですからこまめにしっかりと整備をしないとなりません。クラッチも軽量化され余計な物は無く材質も一般車両とは異なります。市販車と違い一晩置くだけでクラッチは張り付きエンジンを余程暖めないと離れません。この性質を緩和してくれるのがこのアッシュの「FS」です。
計測してみるとエンジン始動から2分の暖機で大きなショックも無くすんなりとクラッチは剥がれます。

PSEと違い合成油ですのでオイル漏れの対象になりますので双方使ってみて、自身の方向性に合ったオイルを選ぶ事も重要です