W1S,W1SA,650RS/W3 ~サイレンサーのメッキ加工

W3
W1S,W1SA,W3 ~サイレンサーを例にレストア・メッキ加工の手引き
W1S,W1SA,W3 ~サイレンサーを再メッキ加工

全面を綺麗にクロームメッキ加工

ただ漠然と加工業者様へ依頼するだけでは一般的に見える範囲を想定した仕上がりにしかなりません。きちんと指示書を添付して事細かに説明する事によってより完成度の高い仕上がりとなります。

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サイレンサーの再メッキ加工

サイレンサーを例に解説

サイレンサーはパッと見では外側の光しか目に入ってきませんが、例えば車体を左側から見ると右側・内側部分が見えます。更に良く見ると右側マフラーステーまで見えています。
ですのでサイレンサーも内側からステー取り付け部分のプレートまで含めた全面を綺麗に仕上げないと見る位置が変わると粗さの目立つ仕上がりになってしまいます。指示書にてその旨を伝え全面綺麗に仕上げてもらいましょう。内側部分の輝きによって車体全体の輝き方が更に向上する仕上げ方法です。

メッキ加工が終わると最終仕上げに青棒で「バフ」をかけて完成となります。
隙間やボルト穴に研磨剤・青棒のカスが残っていますので取り付け前にパーツクリーナーにて必ず洗浄します。

筒部分はもとより、メインスタンドの逃げまでもが水を張った様な綺麗な仕上がりとなっています。
ここまで平滑であると仮に錆が発生してもコンパウンドで容易に落とせるメリットもあります。

メッキの良さは丁寧な下地処理があってこそのものです。そして不純物の無い層内と漬け方も重要で、どれかひとつでも欠けてしまうと綺麗な仕上がりは望めません。メッキ屋さんの仕事はとても大変な作業の連続ですので、出来上がった際には仕上がりの確認と共に感謝の気持ちを伝えるようにしています。

サイレンサーの再メッキ ~マフラーステー

マフラーステーとステー取り付け部分

前述のスタンドの逃げ同様にステー部分も細かい部分に渡って綺麗に仕上げられています。

マフラーステーはプレス成型・切りっぱなしの側面を平らに削り直してからリペイントし、ボルトとワッシャーはステンレスの物をバフ仕上げにして取り付けています。左側ステーはドライブチェーンが当たって削れている物を多く見かけます。ここもリペイント前に溶接にて修正・成型し直してから塗装します。最後にストッパーラバー(Z1/Z2と同じ部品)も新品に交換してあげましょう。

インナーバッフルの取り付け ~取付ボルトも研磨

メッキ加工の為インナーサイレンサーは抜いています

メッキ層が厚くなり出口付近も若干きつくなります。その場合はリューターなどで削って調整します。ここの取付ボルトも何気に良く見える(?)部分でもありますので、ステンレス・バフ仕上げボルトを使います。

ボルト角が正面を向く様にセットし、どの角度からも光が反射する様に向きを考えて取り付けています。私の手掛ける車両の六角ボルトの向きはこの様に角が正面若しくは上を向く位置で固定する様にしています(ボルト・ナット固定部分はそうし易い)。
余談ですが、フロントフォークのトップキャップは乗車時も目につきますので必ず角を前方へ向けています。

ワッシャーとネジロック剤を使って微調整し、ナットの向きも合わせています。画像では分かり辛いですが、ボルトの長さをナット上部と面一になる様にカットしてその断面も鏡面仕上げとしています(もちろんワッシャーもサイドからバフ仕上げとしています)。

卓上グラインダーに綿バフをセットし青棒で磨くとこの様に鏡面仕上げが可能です。
(下地処理はベルトグラインダーにて行います)

 

小型・高耐久で定評のある『マキタ』製品がお薦めです。


その他お薦めのメッキ部分と鏡面仕上げ

元々は黒くペイントされていますがライセンス・ブラケットもメッキすると、テール部分は良く輝き車体後部のアクセントにもなります。

裏面は特に見える部分ですのでしっかりと指定して光らせる様にします。
テールレンズ・ベースも分解し、ライセンスブラケットとテールランプ・ブラケットと3点セットでメッキを施すと益々の仕上がりとなります。

少し高度な仕上げ加工となりますが、バックミラーの鏡面仕上げ。丸ミラーはステンレス製ですのでここも丁寧に磨くと本家の鏡と同様な反射となり車体の輝きを引き立てます。

細部まで磨かれて、新品時に刻印された文字が消えています。

 

バックミラーの加工の際は鏡部分のマスキングをして作業するようにします。
少しハードルは高くなりますが、その分完成後の仕上がりには素晴らしい物があります。