Z系のトラブルに多いのがジェネレターカバーからのオイル漏れとマフラースタッドボルトの折れ、そしてこのカムホルダーのネジ山です。
エンジン搭載のままで修理・・・
DIYで修理するにはボール盤が必要なのとシリンダーヘッドを降ろさないとならない事が大きな障壁です。予算の関係でエンジンが下せない時にハンドドリルで作業を行う事もありましたが、水平を出すのとそれを保ったまま穴を開け直す作業はとても難易度が高い作業となりますし、必ずしも垂直に穴あけ出来るとは限りません。
ネジ山に不具合が出た部分がドリルの入らない場所(2番・3番シリンダー)である時は、ヘッドを降ろさないと作業は不可能です(これはマフラースタッドボルトでも同じ)。
補修箇所がとても重要な部分でもありますのでヘッド単体での作業を行うのが最善の策です。
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カムホルダーのネジ山は「リコイル」で修正修理
一昔と違ってとても身近な存在の「リコイルキット」。
廉価版とも言える低価格なセットもありますが、明らかにネジ山となる「バケット」の素材が悪く強度不足を感じます。肝心のタップの素材も悪く幾度か使うと切れ味は大きく低下しますので、高価ではありますが出来るだけきちんとしたメーカー品を使いましょう。
実際の作業
シリンダーヘッドを降ろしボール盤へとセットします。
今回の修理では予算の都合上、ヘッド分解無しでの作業依頼ですので周辺部品は組み込まれたままの状態で行っています。
ノギスの「デプスゲージ」を使ってボルト穴の底までの深さを測ってオーバーサイズ用ドリルで穴あけします。測定した深さに合わせてドリルにはマスキングテープで印しを付けていますが、ボール盤側で切削距離の調整・設定が出来ますのでこれと合わせたマーキングです。
ドリル深さは約31mmとなっています。
次にオーバーサイズのタップにてネジ山を切っていくのですが、垂直を出す為のガイドを使ってネジ切を行います。これはタップ径に合わせた外径の大きいカラーを見つけて代用可能です。
「リコイル」とはこの様なスプリング形状のネジ山を埋め込む作業で、元のネジ径を削り落として新しいネジ山を挿入してあげるイメージです。
ネジの挿入には画像のストッパー付きのネジ棒にバケットと呼ばれるネジ山をセットし、希望の深さまで回転させて取り付けます。
ネジ深さ(ネジ頭部・始まりまでの距離)はノックピンが入るので約「9.5mm」です。
バケットは逆回転させての取り出しは不可能ですので少しずつ回転させて、その距離・深さを測りながら慎重にセットする様に心掛けます。
ネジ山のセットが完了したら
ネジ棒のストッパー部分を折って作業は完了となります。
バケット(ネジ山)は設定深さまで慎重に回転させて固定します。
途中で何か不具合があった場合はネジ棒のストッパーに細いマイナスドライバーを引っかけて、バケットを取り出す(引っ張り出す)事も可能です。その際にはバケットは再使用不能な状態になりますので新しいバケットの再挿入となります。
ネジ山の位置が決まったら「ピンポンチ」にてストッパーを叩いて折ります。
細いマグネットが無ければヘッドをそっと逆さまにすると破片は落ちてきますが、必ず取り出して破片の確認をします。
ピンポンチは「PB」がお薦めの製品で、これはキャブレター整備にも重宝します。