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スズキ機工さんのデモンストレーション
スズキ機工さんの営業の方とは家族が旧知の仲でしたのでその関係からよくお世話になっていました。そういう経緯もあり今回店頭にてデモンストレーションを行って頂けました。
デモンストレーション用の試験機、この特別装置が凄い!
デモンストレーションも素晴らしかったのですがその装置。これがデモと同じくらいに感激しました。
簡単に説明すると強いモーターで金属ローターが回転している所へ、金属片を押し当てると言うもの。・・・で、この接触面に様々な潤滑剤を塗りどれ位のトルクをかけたら回転が止まるのか?
押し当てるハンドルにはトルクメーターが付いているのでしっかりと数値化され瞬時に計測・判断が出来ると言う優れものです。
実際の試験結果は・・・
- CRC-556
- メンテルーブ(ワコーズ)
- ラスペネL(ワコーズ)
- ラスペネ・業務用(ワコーズ)
- LSベルハンマー
★~~~以上を試験していきますが1回ごとにパーツクリーナーにてローターを洗浄し、潤滑剤の残っていない一定の状態のもと次の試験に移る様に同条件をしっかりと作って行っています。
【試験結果】
- CRC-556 ・・・・・・・・・・ 「40N・m」に満たないレベル 試験片にダメージ
- メンテルーブ ・・・・・・・・ 「50N・m」を超える摩耗性
- ラスペネL ・・・・・・・・・ 「50N・m」に満たないレベル
- ラスペネ/業務用 ・・・・・・ 「100N・m」の高水準をマーク 試験片ダメージ無し
- ベルハンマー ・・・・・・・・ 「110N・m以上」停止させるのにかなりの力が必要
~~~という結果が出ました。
- CRCは知名度は高いですが性能は低く防錆効果は程々、水置換性ではないので雨水にも弱く潤滑剤としては「水」程度と言う結果になりました。
- メンテルーブは潤滑以上に「耐水・防錆性能」に焦点を当てているので潤滑は並より上、しかし水置換性能は抜群で防錆に於いては他を寄せ付けない程の能力を持っています。
- ラスペネはベルハンマーと同等の潤滑性能を持っています。ですが使う度に缶を良く振ってあげないと(缶の中に撹拌用の球が入っています)その成分は噴霧されないと言う沈殿性の高い物ですので使い方によって性能はまちまちです。クラッチワイヤー内の給油の例をあげると、注油直後は良いのですが持ちは悪く持続性と言う面に於いてはやや問題ありです。浸透性はこれ以上ない程のもので、固着ボルトはこれ無しでは緩める事は困難です。
- ベルハンマーは様々なメディアで取り上げられているだけあって潤滑の王様とでも言うべき商品なのは間違いないと思います。撹拌用の球は入っておらず最初から最後まで同性能である事は誰しもが使い易く、性能差が出ない仕様です。効果の持続性が高いのは、摩擦熱で金属表面が反応し改質される事で滞在性が良くなるからだと考えられます。ワイヤー式クラッチの車両はまだまだ多く、現行車両でも重たいクラッチの車体があるくらいです。旧車含めそんな車両のオーナーには朗報だと思います。
潤滑剤のお話
一般的な潤滑剤は「FM剤」と呼ばれ、ベルハンマーは「EP剤」です。
FM剤は「減摩剤」、EP剤は「極圧剤」と名称通りの働きをする成分です。お互いを混ぜ合わせて比率を変えて調整されて潤滑油として様々な所で使われています。
CRCやラスペネLは「40N・m」で摩擦力が勝ち、回転ローラーは止まってしまいます。これに対してラスペネ業務用とベルハンマーは「110N・m」を超えてもまだ止まりません。ここでこの2種の大きな違いは、ラスペネは煙が立ちますがベルハンマーは煙が出ません(ベルハンマーは熱がかかるとその能力を発揮します)。
試験機での実験では潤滑剤を変える時にパーツクリーナーで洗浄します。洗浄用パーツクリーナーも無メーカー品ですと潤滑剤の効果が落とせず試験になりませんが、ワコーズの「BC-8」を使ってクリーニングすると効果はすぐに落とせ、すぐに潤滑剤の効力がなくなります(でもベルハンマーに於いては洗浄を数回こなさないとその効力は無くなりませんでした)。
★BC-8で洗浄後、ラスペネLは止まってしまいますがベルハンマーは止まりません。