W1S,W1SA,W3 ダイナモのオーバーホール
分解・洗浄が終わったら部品を新品に交換し組み立てに入ります
ここでは組み立てとそれに関してのポイントを踏まえた解説をしています。
純正部品で揃う消耗品 ~純正終了部品はリプロ品で
カーボンブラシを押さえるスプリング以外は新しい物と交換が可能です
Oリングとカーボンブラシ、そして両端を支持するベアリングは新品での入手が出来ます。
カーボンブラシはメーカーから(カワサキ純正部品)の物が入手出来ます。
ベアリングは市販サイズで合う物がありますが、当サイトでも購入可能です。
画像は「ダイナモOHキット」です。
キット内容は、両端部のベアリング・カーボンブラシ(カワサキ純正部品)・ローターシャフトオイルシール・フィールドコイルビス(ステンレス製8個)・マイナスリードビス(ステンレス製)・ダイナモOリング~~~のセットとなっています。
カバーガスケットは販売終了していますがリプロ品が発売になりました。
こちらは純正品よりも厚みを増して作られていますのでオイル漏れ対策になっています。
(純正:0.6mm、リプロ:0.8mm)
ダイナモの組み立てを解説
分解洗浄が終わり部品が揃ったところで組み立てに入ります
ダイナモカバーは半艶黒でリペイント。ダイナモボディは純正同様に有色クロメートで再メッキ仕上げとしています(固定用ボルトの2本も)。
オイルシールとベアリング
ダイナモカバーに付くオイルシールは向きに注意
ダイナモのオイルシールは、エンジン側からのオイル侵入を防ぐ為の物ですので、ダイナモカバーに対して裏向きの取り付けとなります。
3枚のシムをオイルシールの中にセットします。オイルシールにはグリスを塗ってローターシャフト挿入の下準備とします。
ベアリングはクリップで固定。
オイルシール側のスリーブ下には「シム」が3枚入ります。
ダイナモカバーにオイルシールとベアリングを取り付け後、プレス機にてローターシャフトにダイナモカバーを挿入します。
ローターシャフトには先に後端部のベアリングを圧入し、その後ダイナモカバーを取り付けます。
カーボンブラシケースの組み立て
ブラシケースもリペイントで再生
ブラシケースは塗装の下処理としてサンドブラスト加工を施します。
ブラシホルダー等、ケース内部の腐食が酷い場合は一緒にブラストして綺麗に内部を整えます。
ブラシを交換したらベアリング部分にモリブデングリスを塗布します。
フィールドコイルの取り付けと配線の処理
ローターASSYとブラシケースの準備が出来たらフィールドコイルを組み立てます
「-」ビスから変更した「+」ビスにてフィールドコイルをヨークASSY・本体ケースに固定します。
ボディは純正同様に有色クロメートで再処理をしているのでケースも綺麗に再生されています。
コイルから出ている線をケース穴に通します。
配線はこの時点でギボシ端子は付けていない状態です。組み込みが終わった時点で双方の線長を合わせますので、古い線と入れ換えた時に長めに出しておく様にします。
配線を元の長さに合わせたら専用グロメット(非売品)にて位置を固定します。
ダイナモの組み立て
ベアリング・ブラシ・フィールドコイルの準備が出来たらいよいよダイナモの組み立てです
まずダイナモカバーの取り付けられたローターASSYをダイナモボディにセットします。
次にブラシ側のカバーを取り付けます。
ブラシ4個を開いた状態にしないと入っていきませんので少々コツが必要です。
私は先にブラシを取り付けてから作業してしまいますが、ブラシの取り付けを最後にしてブラシの無い状態で作業をするとブラシケース・ダイナモカバーを簡単にセットする事が可能です。
ブラシ部分は標準では「紙」が使われていますが、殆どは経年劣化で再使用不可能な状態です。
一番手頃なのは同じ紙製の「マスキングテープ」で、これですと入手し易いのと合わせて外す度に交換が容易なのも利点です。ここでは「15mm」幅のテープを左右と真ん中の3筋に貼っています。
分解前にチェックした通りに、コンミテーターバンドの固定部分は配線出口とアースリード部分に合わせるようにします。
ダイナモオーバーホールの完成
リペイントと再メッキ加工で外観も綺麗に仕上がりました。重要なのは中身ですが、見た目も大事な部分です。
ダイナモカバーのリペイントだけでなく、ケースボディのメッキとステンレスビスで当面は腐食のし難い仕様となっています。
配線部分の専用グロメットは水分の侵入を防ぐ形状になっています。
【ダイナモのオーバーホール④~動作確認と取り付け編へ続く】