Z1/Z2 ジェネレターからのオイル漏れ修理~市販のリプレイス部品にひと手間加えて

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Z1/Z2 ジェネレターカバーからのオイル漏れ対策

Z1,Z2からZ750FX,Z1000Mk2まで

Z1,Z2,Z900,Z1000,Z750FX,Z1000Mk2,Z1Rまで使う部品は違えど作業内容はほぼ同じです。

Z750FX/Z1000Mk2に於いては殆ど漏れてきませんがZ1/Z2では定番のオイル漏れ箇所です。純正部品では設定の無かったリプレイス品を上手く使って修理を進めて行きます。

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市販部品を上手く使って

~~~ただ単に取り換えてもオイルは数か月で漏れてきます。液状ガスケットとその他ケミカルを使用し耐久性を向上させる方法の解説です。

漏れ止めにシリコンガスケットを盛り込まれていた物。経年劣化でオイルによって黄色く変色しています。

これをキレイに取り去り新たに配線とグロメットを交換します。画像はケース側をキレイに洗浄したもの。

今回提唱するのは5年以上~目標10年の高耐久性を持たせる為のひと工夫加えた交換方法です。

実際に使う部品は入手し易いPMC製品

 

~~~使用するのは価格も手頃で現在入手し易い「PMC製品」です。

グロメットだけでも良さそうですが配線も劣化していて硬直し、それがもとでオイル漏れの原因になりますのでハーネスセットをお勧めします。

使用する液体パッキンはシリコン系で、従来使用の「ワコーズ」よりもホンダ純正の物が耐久性があります。

~~~左上の画像はワコーズの「ガスケットメイク」を使用して組んだ時の様子。右上は数年経過しオイルの滲みの症状が出始めた頃の物で、劣化して黄色く変色しています。

ワコーズの「ガスケットメイク」は様々な部分で使えますので1本あると重宝します。

  • オイル漏れ
  • 水漏れ
  • 排気漏れ
  • 部品貼り付け
  • 振動対策

他にも色々なシチュエーションで活躍します

 

 


交換手順と「ひと手間」の解説

実際の数値も踏まえて作業手順を解説していきます。

  1. レフトエンジンカバーを外す(エンジンオイルを抜くか右側に車体を傾けてから)
  2. 3本のボルトを抜いてカバー内側に固定されているジェネレターを外す
  3. 線を固定しているクランプを開き配線をフリーの状態にする
  4. 3本の銅線のハンダを溶かして配線後部を取り去る
  5. 新しいグロメットに新しい配線を通し固定、ジェネレター側3本線に収縮チューブを通す
  6. 配線をハンダにて取り付け、3本の線に被覆を付けた後クランプで固定
  7. 配線グロメットに液状ガスケットを使いエンジンカバーにジェネレターを取り付ける
  8. 新しいガスケットを使いエンジンにジェネレターカバーを取り付け、配線を取り付ける

 

「4番」からの解説です

絶縁被覆をスライドさせて銅線の繋ぎ部分を出し、ワット数の高い半田ごてて溶かし3本の線を外します。アルミの筒の中で固定されていますのでそれを挟むのにラジオペンチも必要になります。

アルミの筒は熱いうちに振って中のハンダを飛ばして内側を綺麗にします(再使用の場合)

「5番」からの解説です

新品の配線です。保護チューブ先端の黒いテープを剥がして配線の加工を行います。

 

 

実測値でグロメット底面より「55mm」に配線先端部を合わせます。

そしてここで裏技を・・・。

グロメット穴内部と配線表面に先の「ワコーズ・ガスケットメイク」を塗り組付けます
こうする事によって配線とグロメット穴からのオイルの侵入漏れを防ぎます。

 

配線処理後に更に裏技を追加

配線のつなぎ方のコツは、まず黄色い線先端にハンダを溶かし込んで筒を取り付けます。そこを半田ごてで熱してあげると黄色線と筒は固定されます。筒のジェネレター配線側、ここに溶かしたハンダを追加した後にジェネレターからでている線を真横にしてハンダを溶かし込んだ筒をコテで熱しながら線へ挿入。これが一番良い順序と思います。仮に逆から、ジェネレター側配線に筒を付けてからですと、黄色線は太いので筒を押すばかりで中になかなか入りませんし、この順序でないとジェネレター側3本線に通した収縮チューブに熱が伝導し縮んでしまいます。

 

アルミの筒を先に黄色線側に付けてからジェネレター側配線を付けます。

 

 

固定出来たら先に通した収縮チューブを被せて熱して縮めたら完了です。配線をクランプに固定して配線部分は完成です。

 

 

 

クランプ部分の被覆はハーネスキットには含まれていませんので再使用します。

 

なるべく筒から収縮チューブは離さないと熱伝導によりすぐに縮んでしまいます

 

 

配線取り付け後の裏技・・・。

 

グロメットの3本線が付いた丸い凹みに「瞬間接着剤」を流し込んで促進剤で固めます

こうする事によって配線被膜からのオイル染み込みよる漏れを止めるのです。

オイル漏れ止め加工の最終仕上げ

ここまでくるともう殆ど完成の域に近づいています。

 

古いシリコンを取り除いたカバー。

 

 

 

そこへ液状ガスケットを塗布します。

ポケットの中を液体パッキンで満たしておくのも良いですが、はみ出る部分が多く仕上がりが綺麗にならないので個人的にはそうしませんし意味もあまりありません。

 

 

今回使ったのはホンダ純正の液体パッキン。灰色で目立ちにくく、硬化後も様々な油脂類に強く頼もしい製品です。

 

オイルの漏れ止め加工は「内側」から ~その①

前出のエンジンカバー・配線ポケット部分。ここにシリコンなどたっぷりと入れて組み付けられている車両を見かけますが、実際のところそれで漏れが止められている事はありません。

カバー内部からオイルが外に出始めたら外側にいくらシリコンで固められていたとしてもオイルに侵されて、オイルが染み出てくるのは時間の問題です。内側のバリヤーが破られた時点でオイル漏れの発生は外の門で押さえつける事は難しいのです。その為にも液体パッキン使用前の下処理としてカバーとグロメット、配線部分の「脱脂」を十分に行い、しかるべき処置(裏技)を施しての組み付けを行う事が大事です。

カバー側とグロメット再度に液体パッキンを塗ってジェネレターをレフトエンジンカバーに固定します。ジェネレターと配線が所定の位置に収まったら配線回りとグロメットの縁を更に液体パッキンで盛り付けオイル漏れ対策最終章とします。

この後即座に車体側へ取り付けるのですが、盛り付けた液体パッキンが硬化する前に傾いて流れていかない様に丸一日水平の状態で置いておくのが理想的です。その為にもエンジンオイルは抜いておいた方が良いのでオイル交換時期に合わせた作業をお勧めします。

 

ジェネレターをカバーに取り付ける場合、斜めになっていたりして上手くはまらない時があります。傾いたままカバーに引っかかってしまって引き抜けなくなったら、その時は慌てずにカバーのパッキン面をプラスチックハンマーなどで軽く「コンコン」と叩くと簡単に外れて上に上がってきます。

 

オイルの漏れ止め加工は「内側から」 ~その②

何も漏れ止めはパッキンだけに頼るものばかりではありません

ここまでしてもしばらくしてオイルが滲んでくる場合は作業の不備ではなく「オイルの成分」によるものだと考えられます。
化学合成油ですとオイル粒子が細かくあらゆる部分でオイルは染み出てきます。
こnエンジンオイルを「鉱物油」にするだけで漏れがピタッと止まります(各部分の確実な作業前提です)。鉱物油は化学合成油と違い粒子が粗い性質を持っていますので隙間から外に出難く漏れ難いのです。